リンカー、スペーサー、架橋剤について

二つ以上の化合物(例えば蛍光物質とタンパク)間に挟む、活性には直接影響しない架橋剤を
スペーサー、リンカーと呼んでいます。

親水性、スペーサーの長さ、活性部位との結合様式等、リンカーの性質が全体の性能に大きな影響を及ぼすことがわかっています。適切なリンカーを選択することで活性や性能の最適化が可能になります。
新成化学では創業以来、親水性リンカーとしてポリエチレングリコール(PEG、PEO)誘導体の開発に力を入れています。両末端の各種官能基とリンカーの長さ(エチレングリコール繰り返し単位)を変えることにより様々な用途に対応可能です。

リンカーのそれぞれの特徴、留意点について下記ご紹介いたします。

ポリエチレングリコール(PEG/PEO)
ポイント:

ポリプロピレングリコール(ポリオキセタン、PPG/PO)
  • 繰り返し単位:プロピレングリコール(-CH2-CH2-CH2-O)-
  • 安定性:◎ 強烈な酸、アルカリで高温に加熱しない限り切れません。PEGよりも末端の安定性は高く、短い構造の副生は認められません。
  • 低分子入手容易さ:×一般に入手困難です。OH-OH体のn=2は入手可能ですがかなり高価になります。
  • 高分子入手容易さ:×入手困難です。
  • 新成化学での繰り返し単位の延長対応:〇。弊社ではn=14までの合成実績ですが合成法はほぼ確立できています。需要が見込まれれば高分子合成を本気で取り組みたいと考えています。アルキル鎖の炭素-炭素結合による高分子化は困難ですがアルキルの間に酸素(O)を挟むことが許容されればかなりの高分子単一物質が期待できます。
ポイント:
ポリブチレングリコール(ポリTHFリニア構造、PBG)
  • 繰り返し単位:ブタンジオール(-CH2-CH2-CH2-CH2-O)-
  • 安定性:◎ PPGと同様、強烈な酸、アルカリで高温に加熱しない限り切れません。PEGよりも末端の安定性は高く、短い構造の副生は認められません。
  • 低分子入手容易さ:×一般に入手困難です。
  • 高分子入手容易さ:×入手困難です。
  • 新成化学での繰り返し単位の延長対応:〇。弊社ではポリTHF(環状エーテル)とn=3までしか合成実績がありませんが合成法はほぼ確立できています。需要が見込まれれば高分子合成を本気で取り組みたいと考えています。
ポイント:
  • PEGとアルキルの中間の性質を持ちます。PPGよりもさらに脂溶性が高くなり、アルキル構造に近くなります。
  • 合成実績はありませんがメチレンの数を増やした構造(ペンタンジオールやヘキサンジオールのポリエーテルなど)も対応可能です。
  • PBG誘導体合成実績リスト

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