ポリエチレングリコール(PEG)命名法

新成化学ではPEG誘導体名を簡潔に表現するため以下のルールで便宜的に命名し、カタログ等で使用しています。IUPAC名とも一般的に使用されている方式とも異なります。

ポリプロピレングリコール(PPG)ポリブチレングリコール(PBG)なども同様のルールで命名しています。

1.数値の記載方式

単一構造:繰り返し単位数nで記載
OH-PEG45-OH(繰り返し単位n=45:分子量1,998の単一品)
技術資料はこちら。

分子量分布のある構造:平均分子量(1,000=K)で記載
 PEG2K(両末端OH換算で平均分子量2,000の混合物)
 Trt-PEG2K-OH(平均分子量2,000の市販品ポリエチレングリコールから誘導。繰り返し単位平均45前後)

・化合物名に上付き、下付き文字は使わない。
 ◎OH-PEG3-Et-COOH ×OH-PEG3-Et-COOH

2.繰り返し単位数

-CH2CH2-X-(X:酸素または炭素以外の元素)を1ユニットとしてカウントする。繰り返し単位数nを組み合わせて“OH-PEG9-OH“(繰り返し単位数n=9)のように記載する。n=1の場合は数値を省略する。

末端水酸基を置換または酸化して合成でき、炭素数が変化しないユニットは繰り返し単位に含める。炭素数が異なる場合は繰り返しに含めない。

NH2-PEG4-OH OH-PEG10-COOH COOH-Et-PEG4-O-Et-COOH
(繰り返し単位に含める) (繰り返し単位に含める) (繰り返し単位に含めない)
3.末端置換基記載方法

“PEG”の左側に優先順位の高い官能基を配置する。

・化合物名の左側(先頭):OHの場合はアンダーバーから始めて"_OH"と表記する(COOHと区別するため)。OHのHを置換した構造はOを省略した置換基を、OHを置換の場合はそのヘテロ原子を含めた置換基を表記する。
・化合物名の右側(末尾):OHの場合はそのまま"OH"と表記する。OHのHを置換した構造はO省略なしに続いて置換基を、OHを置換の場合はそのヘテロ原子を含めた置換基を表記する。 例:OH-PEG9-OH Trt-PEG9-OH Trt-PEG9-OTrt

・右と左の置換基は同じ表記にする。例えばDiaminoPEG5の場合、H2N-PEG5-NH2とはせず、NH2-PEG5-NH2とする。

例:hexaethyleneglycol monotosylate=Tos-PEG6-OH
Tos-PEG13-COOH=Tos-PEG12-O-CH2-COOH=Tos-PEG11-O-CH2-CH2-O-CH2-COOH
アルデヒドも同様に記載する。CHO-PEG6-CHO

3-1 各置換基、保護基の短縮表記はProtective groups in Organic Chemistry記載に従う。複数通りの記載がある場合はどちらを採用しても構わないが、一連の化合物群については極力統一する。

3-2 上記書籍に記載のない官能基は適宜ルールを決めるが、概ね以下の例を参考にする。頻繁に登場する官能基はローカルネームを設定することがある。 下記4.に示す上位の官能基は概ね左側に記載して収まる表記、下位の官能基は右側に記載する。
・カルボキシル基:COOH-PEG1K-COOH
・Trt保護アミン:TrtNH-PEG14-TrtNH
・アルデヒド:CHO-PEG6-CHO
・スルホン酸:SO3H-PEG3-OH
・4-Nitrophenylcarbonate(pNPC):pNPC-PEG4-COOtBu

4.官能基の優先順位

“>”の左側が優先とする。一部IUPACと異なる。PEG両端の官能基が異なる場合、優先順位の高い官能基を左側に記載する。
OTrt>ODMT3>OR(保護基)>N3(Azide)>RNHR’N(Hydrazine) >RNH(Amine) >X(ハロゲン及び同等機能を有する活性基) >CN(Nitrile)>CC( HC≡C-CH2-:propargyl,propynyl) >Mal(Maleimide)>CHO(Aldehyde) >SO3R>P+R3>PO3R >SR> OH(Alcohol) > OR(保護基以外エーテル結合) >Amide(CONHR)>NHS(N-hydroxysuccinimide)>COOR >COOH

1同一グループ内の各官能基優先順位はIUPACに従う。
2官能基の保護護体またはその官能基の前駆体として機能する構造>活性化体>無保護
3例外的に末端OHの保護基つきまたはエステル化OHを最優先とする。その中でもTrt>DMT>その他とする。

5.枝分かれ構造

① 枝分かれがなく最も長い繰り返し-CH2-CH2-O-(PEG鎖)を基本構造とする。

② 枝分かれのうち長い順に記述し、最も短い枝を最後にする。最初と最後以外の枝構造は括弧()内に記載する。同じ構造の枝が複数個の場合は括弧でまとめて( )2のように記載する。

③ 同じ長さの場合はついている置換基の優先順位順とする。

④ 繰り返し単位数nは枝分かれ構造も含め-CH2-CH2-O-単位が連なった最長とする。

⑤ Crown etherやCyclodextrinのような特徴的な構造体はそれらを基本骨格として命名することがある。

Pentaerythrytol(Trt-PEG3)(DMT)(OH)2 n=3
N3-PEG3-O-CH2-27-crown-9 n=12
(PEG繰返し単位n=12だが、N3-PEG12-・・・とせず、"crown"を用いて記載する。)
5-2.枝分かれ構造(Glycerol含有)

枝分かれ構造のうち、Glycerolを含む構造は以下のルールで命名する。

① ”Glycerol”を冒頭に記載する。繰り返し単位はGlycerol骨格も含め、PEG繰り返し単位の最長とする。

② Glycerol中のOH基及び置換基については1級アルコール、2級アルコールの順に記載する。1級アルコールに付く置換基は( )で、2級アルコールは[ ]で囲む。同じ1級アルコール同士の場合は上記PEGルールに従う。末端が同じ置換基の場合は結合するPEG鎖の繰り返し数(長い方が優先)で順位付けする。

③ 各置換基の記載順は結合位置には無関係に末端の置換基優先順とする。

④ 全ての置換基が同一の場合、及び置換基の結合位置が特定できない場合は全て()で記載する。

⑤ 同じ置換基が複数結合する場合は( )nと表記する。同じ置換基が1級、2級それぞれ異なるアルコールに付く場合はそれぞれ別置換基として、1級アルコール置換基を優先して表記する。

⑥ ケタール保護構造はketalと表記する。1級アルコールと2級アルコールを結ぶ構造一つしかないため( )で囲む。

⑦ Glycerol骨格が連なった構造の場合はDiglycerol、Triglycerol、・・・を基本骨格とする。どのGlycerol骨格に結合するかを区別するため(1: のように結合骨格の位置を記す。同じ置換基が同じ水酸基に複数結合する場合はカッコの後ろに結合数を記載して )n と示す。結合位置が特定できていないまたは混合物の場合は( )に統一して表記する。

⑧ Glycerolが直接結合した構造ではなく例えばPEGを介して結合する場合、1級2級どちらから伸びたか区別するため以下の記述とする。以下の例では2級アルコール同士で結合するため[ ]とするが、例えば1級アルコールと2級アルコールで橋かけする場合は( ](左は1級アルコール、右は2級アルコールで結合)と記述する。

⑨ GlycerolのOがN,Sなどの他の元素に変わった構造についても骨格をGlycerolで命名する。

⑩ Pentaerythrytol,Triethanolamine,2-Hydroxypropanediolも同様に命名するが各OHが等価なので[ ]を用いることがない。その他構造についても合成することがあれば別途定める。

Glycerol(N3-PEG3)2[OH]
Glycerol[Tos-PEG5](OH)2
Glycerol(NH2-PEG3)3
Triglycerol(1:Trt)(3:OH)[1,2,3:OH]
6.環状エーテル

技術資料はこちら。

① CとOのみで構成され、対称構造の環状エーテルは“m-Crown-n“のように記載する。

② 環状エーテルにアルキルまたはPEGの枝がついている場合は、枝部分を最初に記載し、末尾に環状部分を記載する。

③ 繰り返し単位の長さは環状部分と枝部分を含め、枝の末端から始まり-C-C-O-単位が連なった最長数とする。

④ 枝が2つ以上ついている場合は5.の枝の優先順位に従い記載する。同じ枝であれば括弧でまとめる。

⑤ 2つ以上の枝は優先順位最上位置換基の繰り返し単位位置"1"とし、2番目の繰り返し単位位置を数値で示す。各枝の結合位置が特定できていない場合は位置情報を省略する。

⑥CとO以外のヘテロ原子(N,S等)を含む環状エーテルについては"Crown"を使わず、Cyclic(-X-PEGn-X'-)と記述する(Nの場合X=NH Sの場合X=S)。ヘテロ原子を含む単位が2以上ある場合は、Cyclic(-X-PEGn-X'-)mと記述する。

N3-PEG3-O-CH2-39-crown-13
1,6-(N3-PEG3-CH2-O-CH2)2-30-crown-10
(各PEG枝の結合位置が決まっているので"1,6"と記載する。)
48-crown-16
OH-CH2-30-crown-10
Cyclic(-NH-PEG5-)
Cyclic(-S-PEG9-)
Cyclic(-S-PEG4-S-)3
7. メチレン繰り返し単位2(エチレングリコール)以外のポリエーテル

-O-CH2-CH2-CH2-構造の繰り返しの場合は“Pr”を使用する。メチレンが更に一つ増えたら“Bu”とする。PEG誘導体との混合構造の場合、繰り返し単位の長い方を優先して基本命名する。
・環状エーテルは”クラウンエーテル”命名法に従う。

Trt-Pr3-OH
Trt-Bu2-OH
Trt-Pr-PEG3-Pr-Trt
35-Crown-7
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