NHS(N-Hydroxysuccinimide)をご利用いただく際のチェックポイントについて

バイオ研究の分野ではカルボン酸とアミンの反応にはNHS(H-Hydroxysuccinimide:活性エステル)を使用することが唯一の選択肢とされていて、前駆体のカルボン酸に脱水剤を混ぜてアミンと反応させるという発想が全く無いように見受けられます。

一方、有機化学の研究者にとってNHSは何も特別なものではなく選択肢の一つに過ぎません。NHS化物が安価に市販で入手できれば迷わずそれを使いますが、そうでなければカルボン酸をわざわざNHSに導いて精製するような面倒はせず、下記Fig.4のようにカルボン酸+脱水剤の組み合わせでワンポット反応してしまいます。

NHSの利点
NHSの欠点
NHSを使用した方が楽なケース
NHSを使わなくてもカルボン酸+脱水剤で事足りる事例
特殊ケース
カルボン酸ではなくNHS(N-Succinimidyl活性エステル)での納品をご希望頂いた際、弊社では以下のように対応致します。
  1. カルボン酸と等モルの脱水剤を用いてNHSに導きます。
    沈殿で精製できそうであれば反応液を貧溶媒に落としてから遠心または濾別して乾燥、一部を用いてアミンとの反応性を確認した上で納品いたします。
  2. 目的のNHSが結晶性に乏しく沈殿しない場合、お客様のご要望に対応する形でカラム精製(シリカゲルまたはODS)を試みます。精製フラクションの乾燥品一部を用いてアミンとの反応性を確認した上で納品いたします。精製後の一部加水分解は避けられませんのでご理解頂きますよう、お願いいたします。
  3. お客様からカラム精製のご要望がない、またはカラム精製中の激しい加水分解が避けられないことが判明した場合、カラム精製を省略します。反応液の一部を用いてアミンとの反応性を確認した上で減圧で溶媒を除去乾燥品を納品いたします。脱水剤の残骸(アミンとの反応には影響しません)が含まれますのでご了承ください。
  4. 反応系内に他のカルボン酸が無いことが明らかな場合は、未精製で納品の場合でも原料のカルボン酸に対して少し過剰目の脱水剤を使用いたします。(この方がアミン成分との反応で100%に近い反応率になります)
  5. 同一分子内に複数のカルボン酸があり、選択性が求められる場合はFig6に示すIM1'-2の構造で納品することになりますが、SM1'の合成でかなり面倒な工程が必要になると予想されますので個別ご相談させてください。
  6. アミド結合形成反応までを弊社にお任せいただけるようでしたら別のアイデアもございます。是非ご相談させてください。

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