リンカー、スペーサー、架橋剤について
リンカーのそれぞれの特徴、留意点について下記ご紹介いたします。
カーボネート(炭酸エステル)結合とPEGの組み合わせ
- 繰り返し単位:トリエチレングリコールのカーボネート結合(-PEG3-OCO)-
- 安定性:△ 酸には強く、アルカリで加水分解して脱炭酸を起こします。エステルと同程度の安定性です。
- 入手容易さ:入手困難です。
- 繰り返し単位の延長:〇(比較的容易)
ポイント:
- 一般に流通しているポリカーボネート(ビスフェノールAのカーボネート重合体)とは無関係です。
- カーボネート部分の性質(酸には強くアルカリで加水分解)によりPEGとは少し異なる使い方ができると思われます。
- 例ではトリエチレングリコール(PEG3)ですが、任意の長さのPEGnやPPG、PBGなどの構造にも対応可能です。
アミド結合とPEGの組み合わせ
- 繰り返し単位:オリゴエチレングリコールのアミド結合-(PEG5-CONH)-
- 安定性:〇 一般のアミド結合と同程度。余程強い酸またはアルカリで加熱しない限り切れません。
- 高分子入手容易さ:比較的短い構造でも市販品は見当たらず入手困難です。
- 繰り返し単位の延長:◎(大変容易)弊社ではペプチド合成の豊富な経験を生かして短期間で高分子合成が可能です。
ポイント:
- 例ではペンタエチレングリコール(PEG5)のオリゴマーですが、任意の長さのPEGnやPPGn、アルキル等に対応可能です。
- エーテル結合よりも簡便高収率なアミド結合の繰り返し反応を行い、PEGに近い親水性の高分子リンカーを短期間で合成可能です。
- PEGの代わりにアルキルアミノ酸を用いれば低極性高分子リンカーを短時間で合成可能です。
- NH2-COOHと左右非対称構造ですので両末端の選択的反応をコントロールしやすくなります。