分子量分布のある市販OH-PEGn-OHから誘導したNH2-PEGn-OH
新成化学では未反応の原料(OH-OH体)、片側反応中間体(R-OH体)、原料中に含まれるOH-OHではない構造などの不純物を独自の方法で除去しています。分子量分布のある廉価版PEG誘導体でも品質に妥協しません。
新成化学では分子量分布のない単一構造のポリエチレングリコール(PEG)を全面に押し出していますが工程数が非常に長く、コストを大幅に下げることは容易ではありません。価格がネックとなり残念ながらご利用を断念されるお客様も居られます。
分子量が揃っていなくてもよいので費用を抑えたい・・・代替品として市販のPEG:格安だが単一構造ではなく、分子量分布がある混合物:からの誘導体について多くの研究者様より引き合いを頂いています。
単一構造のPEGと比較して安価とはいえ、高品質を求めるとなれば高度な技術を要します。混合物ならではの精製ノウハウがあります。
イオン交換樹脂法、逆相などで目的のカルボン酸やアミンと未反応のOH基などを分離することは分子量増大に伴い難易度が格段に高くなります。
繰り返し単位の異なる異性体の分離は分子量増大に伴い不可能になってきますが、それ以外の不純物や未反応のOH基構造は工夫次第で分離可能です。新成化学では独自の方法により目的物以外の不純物や未反応原料、オーバーリアクション構造などを徹底除去し、可能な限り高純度なPEG誘導体をご提供しています。
弊社では保護基を使用することにより極性を大きく変化させ未反応のOH体を完全除去した後に保護基を外し、最終的に両末端の官能基が揃った高純度品になっています。
PEGの片側をアミノ化して保護基が結合した状態で一度単離します。
(下図の分析条件では保護基が一部外れてしまうのでNH
2-OH体のシグナルが認められる)
脱保護後のリテンションタイムは出発原料のOH-OH構造と重なっていますが、前駆体で完全に除去していますので目的のNH
2-OH構造のみとなります。
NH2-OH構造特有の注意点は安定性の問題で、下図に示すように雑に扱うとかなり激しい主鎖の切断が起こることです。一部の分子量が小さくなり分子量範囲が広がってしまうだけでなく切れた断片も不純物として残るため、重大な品質低下を招きます。
新成化学│分子量分布のあるPEGジカルボン酸
参考データとして単一構造のMSスペクトルもお示しします。分子量分布のある混合物(SCHEM03150)と比較してすっきりしたスペクトルであることがお分かりいただけると思います。精製前のcrudeHPLC分析において副生物が全く認められません。
SCHEM No. |
Structure |
Compound Name |
Price (JPY) |
Purity |
Stock(mg) |
03543 | | NH2-PEG2K-OH | 75,000/25mg | <80% | 0 |
03335 | | NH2-PEG1.4K-OH | 68,900/25mg | <80% | 0 |
03150 | | NH2-PEG1K-OH | 75,000/50mg | <80% | 0 |
高純度を謳っているのにPurityが”out of warranty"とは?・・・3つの事情を考慮しました。
- 市販の分子量分布のあるPEGから出発であり様々な分子量の混合物ということで本来の意味での純度ではないと考えました。
- 混合物ですので同じ出発原料を使って同じ反応をしても反応、後処理、精製条件などの違いなどにより、ロット間の各分子量含量比率に差が生じる可能性があります。
- 目的の構造以外の原料、片側反応中間体、原料に含まれる不純物、副反応成分等、弊社のノウハウを駆使して除去していますので両末端の官能基につきましては”高純度”と自信を持っていますが単一品ではないためMSスペクトルも複雑で、たまたまリテンションタイムが重なっている不純物の可能性排除が難しいためです。